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中国家具の基礎知識

中国家具とは
1 中国家具の歴史および時代による移り変わり

中国家具は、およそ3000年以上の歴史を持つのだそうですが、
現在、一般的に知られるようなスタイルになったのは、宋の時代(960-1279年)頃からとされています。日本史で言いますと、平安から鎌倉時代ということになります。
その後、中国の家具が完成の域に達したのは明の時代(1368-1644年 日本では、室町~江戸時代)。
またそれに続く清代(1644-1911年)には、装飾性が強くなっていきました。

現在、中国家具といえば、この明・清代のスタイルを指していますが、
この二つの王朝は、支配していた民族が異なることもあり、その様相は大きく異なります。(明の時代は、漢民族主導の統治。一方、清代は満州民族支配)

明式の椅子

明式の椅子


端的に言えば、明のものは、無駄がなく流麗で美しいシルエットを持つものが多く、
一方、清のものは、細かい彫刻や象嵌など装飾性が強いということです。

清代の家具 凝ったデザインが特徴

清代の家具 凝ったデザインが特徴

中国家具は黒や朱赤の塗りに金泥で描かれた花鳥柄や吉祥柄のものが多いと思われがちですが、かつては明かりが乏しかったことから、木目を生かした明るい自然な色の家具がほとんどでした。
主な材木は花梨や黒檀、紫檀といった高級木材(紅木)でしたが、次第に楠・楡・欅・杉などの木材が広く使われるようになりました。

明式家具の図面 複雑な構造をしています。

明式家具の図面 複雑な構造をしています。

明代の家具 シンプルかつ流麗なシルエットが特徴

明代の家具 シンプルかつ流麗なシルエットが特徴


また広大な中国では、地域により家具のデザイン・材質も異なります。
大都市に近い港湾都市では、材質の良さを見せるため塗装はされないものが多く、また作りも精巧なものが多かったが、地方では低廉な木材に彩り豊かな絵柄を施した簡素な造りのものが多くみられます。


2 中国家具の構造・加工技術について

中国家具には、ネジ・釘はほとんど使われていません。
明代のころから冶金技術が発達し、様々な道具が生み出されるようになってから、
木組みの技術をはじめとした木工技術が非常に進歩したためです。
ネジ・釘で留めたものに比べると、この木組みを用いた家具の出現で、
家具は非常に堅牢になりました。

のちに中国家具の木組みの技術水準の高さは、西洋にも知られることになり、
特に英仏の家具の発展にも影響を与えたほどです。

また、清の時代になると、海外から宗教や芸術が流入し、彫刻や象嵌も成熟していきました。
(象嵌【ぞうがん】は貝、動物の骨や角、大理石などを埋め込んだもので、螺鈿細工などが有名。特に日本の象嵌技術は最高とされます。)


3 代表的な中国家具
官帽椅【かんぼうき】
役人の帽子の形に似ていることから、この名がついたとされています。
圏椅と並ぶ中国の代表的な椅子の形。背もたれは、背骨のS字湾曲に合わせた形状になっていて、すわり心地もよい。肘掛のないタイプもある。
官帽椅

官帽椅

圏椅
ラウンドバックチェアーとして、広く知られる椅子。背あてから肘掛が、
ゆるやかな一つの曲線を描いており、明式家具の代表格。
ウェグナーの名作チャイナチェアーの原点となったのもこれら圏椅と思われる。

圏椅 ラウンドチェアー

圏椅 ラウンドチェアー


長椅子・寝台
奥行きの深い長椅子は、寝台としても使われました。一般的なサイズはW2000以上・D800以上と大きく、シングルベッドほどのサイズがあります。阿片が蔓延していた時分は、これに横たわり、阿片を吸いながらまどろむという使われ方もしたといいます。また天蓋のついた寝台も中国家具特有のスタイル。凝った装飾がついているものが多くあります。
デイベッド

デイベッド


花台
花器を置いたり、お茶を飲む際のサイドテーブルとして使われた小さめの台。
引出のあるもの、棚板が花板(中国の格子)で出来ているものなど非常に多くの種類がある。電話台として使用されることも多く、国内でも人気のあるアイテム。
茶机/花台

茶机/花台


テーブル・デスク
中国家具のテーブル・デスクは、食事用のほか、役人の執務用、書家の使う長いテーブルなど、種類が豊富にある。日本のテーブルが70~75㎝の高さが一般的なのに対し、中国の古いテーブルは、概ね80~90㎝あるものが多い。当然、椅子も座面が高くなっているが、椅子の前脚には、脚を乗せるバーがあるか、脚を乗せる台を別に用意し、使用していた。
table
キッチンキャビネット
食器の収納と、食品の保管を兼ねていたものが多く、上部は幅の狭い扉、
下部は、格子の引き戸となっているものが多い。また、脚は比較的長く、
これらは厨房でネズミが入りにくくするためや、土間に流す水の跳ね返りを
防ぐためと思われる。扉は4枚立てのものが多く、これは導線を短くするための知恵と思われる。
kitchencabinet
ウェディングキャビネット
主に衣類の収納に使われるキャビネット。中国家具の代表的アイテム。
婚礼に合わせて誂えらるためか、金具に縁起のよいモチーフを使っているケースが多い。

チェスト
サイズや用途は様々であるが、ポピュラーなものは、台形をしたものや正面に描画を施したものがある。 腰くらいの高さのものは使い勝手もよく、人気のあるアイテムとなっている。
chest1
オルターチェスト・オルターテーブル
本体に比べ天板が大きく突き出て、両端が上に反った形状のチェストやテーブル。 主に、供物を並べたり、調度品を飾るためのもの。

オルターチェスト

オルターチェスト


オルターテーブル

オルターテーブル


カンチェスト(火偏に亢)
朝鮮半島ではオンドル(温床)と呼ばれるかまどの熱を居室の床を通す暖房設備は、中国ではカンといいます。特に寒冷な北部では、この上で食事、睡眠など生活をしていました。このカンで使うためにつくられたのが、カンチェストやカンテーブル。現在のローボードと同じようなスタイルをしています。また高さも50㎝前後とテレビ台としてもちょうど良い場合が多い。
カンチェスト

カンチェスト

小姐チェスト(シャオジェチェスト)
主に女性が装身具や化粧道具を仕舞うのに使われたとされています。
奥行きは浅く20~30㎝ほどのものが主流。和室にも合うサイズ・雰囲気のため日本での需要は高い。

小姐チェスト

小姐チェスト


飾り棚
鶏翅木(ヂーチームー)などの硬く軽量な木材でつくられていることが多い。
茶器や美術品の陳列台として使われる。複雑に組み合わされたパーツは、 ネジ釘を使っておらず、精緻なものはその棚自身が豊かな芸術品といえる。
博古架

博古架


花板(はないた:ホワバン)
ホワバンは欄間や間仕切りなどの総称。直線的なパーツの組み合わせが多い日本や 韓国の建具に比べ、形状、模様や彫刻など、デザインは多岐にわたる。
四合院といわれる中国の伝統家屋や寺院では、部屋の間仕切り、中庭の窓枠等、様々な場所で用いられた。
小さな窓枠から身の丈2mを超える大扉まで、種々ある。
現在、これら花板を住宅リフォームやレストラン内装などに利用する傾向が強い。
花板 建具 扉

花板 建具 扉


4中国家具を使ったコーディネートのコツ

中国家具、特に椅子や建具などに多くみられるのは、2つが対になっている点です。
これは、陰陽の考えをもとにしています。
よって、これらの一対の品を線対称に配置することが、中国家具の家具の伝統的なコーディネートといえます。

あえてシンメトリーにこだわり過ぎる必要はありませんが、洋の東西を問わず、対称形は様々な建造物や工藝品に見られますので、やはり空間を整然とした印象にし、落ち着くことには間違いはありません。

また、17世紀半ばからヨーロッパで流行した中国趣味の美術様式を意味する言葉
「Chinoiserie:シノワズリ」は、本来は想像上の中国を絵画や陶磁器に表したもので、
実際の中国の伝統的な建築・芸術様式とはずいぶんとかけ離れたものが多々あります。

しかし昨今、インテリアの一ジャンルとして言われる「シノワズリ」とは
「欧米のセンスによる中国家具を上手に活かした新鮮な折衷スタイル」的な意味合いが強く、また大変人気があります。

中国はアジア諸国の中でも、椅子とテーブルを用いた生活が早くから伝わった地域ですので、家具の高さも西洋式の暮らしでも違和感なく使えます。
こういうことからもモダンな空間と中国家具の組み合わせは最良のチョイスかもしれません。

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